教皇ヨハネ・パウロ二世胸像
解 説
世界平和記念聖堂正面に向って右側の境内地に、第264代ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世(2005年4月2日帰天)の胸像が安置されています。
ヨハネ・パウロ二世は、歴代教皇として初めて来日を決意された時、「旅程には、原子爆弾によって恐ろしい破壊力が示された最初の場所である広島も予定されております。人類の歴史にこれが決して再びくりかえされないよう、私は乞い願います」と語られました。
そして、1981年2月25日、「平和の巡礼者」として来広され世界平和記念聖堂を訪問されました。
世界平和記念聖堂はカトリック教会の最高指導者であるローマ教皇が足跡をしるすという栄誉を受けた数少ない日本の聖堂の一つとなる恵みを得たのです。
胸像の正面には次のことばが刻まれています。
戦争は人間のしわざです
戦争は人間の生命の破壊です
過去を振り返ることは
将来に対する責任を担うことです
ヒロシマを考えることは
核戦争を拒否することです
ヒロシマを考えることは
平和に対して責任をとることです
広島平和アピール抜粋
1981年2月25日
War is the work of man.
War is the destruction of human life.
War is death.
To remember the past is to commit
oneself to the future.
To remember Hirosima is to abhor
nuclear war.
To remember Hirosima is to commit
oneself to peace.
Appeal for peace in Hirosima
Joannes Paulus P.P. Ⅱ
25.Ⅱ.1981
胸像の背面には次のことばが刻まれています。
神よ、私の声を聞いてください
私たちがいつも、憎しみには愛
不正には正義への全き献身
貧困には自分の分かち合い
戦争には平和をもって
こたえることができるよう
英知と勇気をお与えください
神よ、私の声を聞いてください
そして、この世に、あなたの
終りなき平和をお与えください
広島平和アピール抜粋
1981年2月25日 教皇ヨハネ・パウ
ロⅡ世は、25000人の市民の迎える平和
記念公園より「核兵器を破棄し平和への道
を歩もう」と全世界に向けて「平和アピー
ル」をされ、続いて、ここ世界平和記念聖
堂において原爆犠牲者の冥福と世界平和を
祈られた。これを記念し、ここに胸像を建
て、平和への誓いを新たにする。
書 井上桂園 胸像 中田秀和 台座 吉田正浪
1987年8月6日 広島教区信徒
碑文には、1987年8月6日と記されていますが、実際には、胸像の除幕式は、前日の8月5日に、当時のローマ教皇庁諸宗教庁長官フランシス・アリンゼ枢機卿(現・典礼秘跡省長官)を迎えて行われました。
1987年8月5日胸像の除幕式の様子