聖体拝領台

 

解 説

世界平和記念聖堂の大祭壇の最下段に、内陣と外陣を仕切るかのような感じで、聖体拝領台があります。

 

ラテン語と日本語で献呈のことばが刻んであります。

 

UT・OMNES・UNUM・SINTBAYERN―HIROSHIMA・1956

 

すべての人々が一つにならんためにバワリア―広島一九五六

 

 ことばは、ヨハネによる福音書17章21節のイエス・キリストの「すべての人を一つにしてください」(新共同訳)という「最後の晩さん」の席での、父なる神に向けられた祈りです。
 戦争の悲惨さを経験したドイツの教会から、すべての人の和解と一致の実現のために生命を献げられたイエス・キリストの祈りに合わせて、ゆるぐことのない恒久平和を願って贈られたものです。

 聖体拝領台には、左右に五本ずつ合計十本の灯のついたローソクのモザイクがあります。
 このモザイクのローソクは、素朴で単純なデザインですが、とても愛らしく心を和ませてくれ不思議な魅力があります。

 

 

 

 「あなたがたは世の光である。山の上にある町は、隠れることができない。また、ともし火をともして升の下に置く者はいない。燭台の上に置く。そうすれば、家の中のものすべてを照らすのである。そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである。」(マタイによる福音書5章14節~16節)というイエスのことばを思い起こさせます。
どんなに小さなともし火であっても、「平和のともし火」をともし、すべての人々の一致のために働くようにと招かれています。

 

 世界平和記念聖堂が建立された頃は、聖体拝領の方法が現在とは異なり、拝領台の前にひざまずいて、司祭からご聖体をいただいていました。

 

(註)通常、聖体拝領は、ミサの中で行われます。
 「主の祈りとパンを裂いた後に行われる聖体拝領(コムニオ)で、信者は『天からのパン』と『救いの杯』、すなわち、『世を生かすため』(ヨハネ6・51)にご自分を渡されたキリストのからだと血をいただきます。」(ミサの式次第、「カトリック教会のカテキズム」カトリック中央協議会、413頁)

 

 「ミサは十字架のいけにえが永続する記念であると同時に、主のからだと血にあずかる聖なる会食でもあります。感謝のいけにえの祭儀は、聖体拝領(コムニオ)によるキリストと信者たちとの親密な一致に向けられたものです。聖体拝領とは、わたしたちのためにいのちをささげられたキリストご自身をいただくことです。」(同上421頁)