2012年2月11日(土)2・11「建国記念の日」を問う広島集会

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内海隆男(うつみ たかお)さん

 2月11日(土)、広島カトリック会館多目的ホールで『「建国記念の日」を問う広島集会』が開かれました。今年は元高校教師で、現在は「教科書問題を考える市民ネットワーク・広島」で活動されている内海隆男(うつみ たかお)さんを招き、『ヒロシマの教科書問題を考える 〜広島県の中学校教科書採択の現状から〜』と題して講演していただきました。
 内海さんはまず前段で「自国に誇りをもたせる」という目的をかかげる「新しい歴史教科書をつくる会」系(※現在、自由社と育鵬社の二社)教科書の問題点を指摘されました。内海さんは「つくる会」系の教科書の問題点として、「皇国史観で貫かれている」「かつての侵略戦争を正当化している」「過去の戦争を反省していない」という三点などがあげられ、具体的な教科書の記述を引き出されながら、丁寧に解説されました。そして後段では、「つくる会」系の教科書を採択する地区が少しずつ増えている現状が報告され、この広島でも呉市と尾道市、私学二校で採択され、2012年4月から使用されることが決まっていること、そしてその教科書がどのようにして採択されたのか、採択の仕方の問題点も報告されました。かつて、現場の教職員で平和教育に携わられ、退職後もかつての日本の侵略戦争の実態を研究され続けてきた内海さんの報告は再びまた戦争への道へと歩まないようにというメッセージが強く感じられた講演でした。
 講演の後の質疑応答では原発事故により広島に避難してきた人から、原発事故により地域住民に様々な亀裂が生じている実態が報告され、「つくる会」系の「公民」の教科書の原発に関する肯定的な記述により、ますます分断が進むことに対する不安な思いも語られた。また、「つくる会」系の立場に立つ教科書が広がり、知らず知らずに憲法第9条も改憲の世論に変わっていくことに対する危惧も出て、このような情勢を知ることの大切さも確認できました。カトリック、プロテスタント、一般市民ら約65名が参加し、その他、それぞれの立場からの意見を出し合いながら平和についての学習を進めることができました。

(文責 カトリック正義と平和広島協議会 神垣 栄)