第23回聖トマス小崎巡礼                               2012年1月22日(日)

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第23回聖トマス小崎巡礼

 今年もまた、各地から多くの巡礼者が続々と集まり始めました。それぞれの想いが体感気温を押し上げたかのように、2012年1月22日(日)の朝はここ数年の巡礼で一番暖かい朝となりました。

 今年の聖トマス小崎巡礼で特筆すべき事が二点あります。まず、今年2012年は、日本二十六聖人が列聖されて150年の節目の年に当たるということです。次回の節目は50年後の200周年だと思うと、今回の節目に私たち今を生きる人々が集えることは神の神秘の計らいであると感慨もひとしおです。日本の初穂となられた二十六聖人に、殉教四百十数年後の私たちは言葉で表せないほどの感謝を捧げたいですね。
そしてもうひとつの特筆すべき点は、三末名誉司教様が司式をしてくださったことです。巡礼直前に体調を崩されて入院された三末名誉司教様ですが、元気に退院され巡礼ミサの司式を何事もなかったかのように行われました。そのお気持ちは、二十六聖人列聖150周年の聖トマス小崎巡礼を更なる高みに運んでくださいました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございます。
あっ、そろそろ9時半です。ごミサが始まりますよ……。

 小鐘が響き、子供侍者を先頭に、アルナルド神父様、肥塚神父様、三末名誉司教様の入堂です。説教で、三末名誉司教様は柔和な表情ながら、『二十六聖人は殉教をもってキリストを証しました。現代に生きる私たちは、何をもってキリストを証するのでしょうか?』と、小さな聖堂いっぱいに集った150人の巡礼者に語られました。強烈なメッセージであります。今を生きる私たちは、明日を生きる人々に何を伝えられるのでしょうか。昨年、日本の司教団は『脱原発』の覚悟を宣言され、教皇様は今年の10月から来年の11月までを『信仰年』とすると開催宣言を出されました。今年、二十六聖人を想うことは、私たちの信仰をみつめ深めることになり、証し人への道を一歩踏み出すことになりますよね。

 阪田巡礼委員長の各地からの巡礼者紹介後、信徒ホールにて恒例のカレーライスタイムです。ここで、三末名誉司教様は出陣前の腹ごしらえをしている一人一人のテーブルを回り挨拶をされ、三原をあとにされました。三末名誉司教様の情熱と愛をトッピングされた三原名物のカレーライスは、これまで以上のおいしさとなり完食となりました。女性の会の皆様ありがとう。さあ、そろそろ出陣です。福山から山口神父様、尾道から服部神父様も来られ、約110名の徒歩巡礼団はルルド前で祈りを捧げて、長崎への道1000km分の13を歩み始めました。

 教会入り口の坂道を下り、城町の聖トマス小崎像にてロザリオ一連を祈り、巡礼歌『二十六の聖』を歌いました。昨年12月に修繕されてブロンズがより美しく鮮やかになった聖トマス小崎像は、「今年もよく来てくれたね。ともに祈り、ともに歩もう」と、巡礼団の祈りに応えるかのように柔らかな光を放っていました。

 例年しんがりをつとめる私が今年はなんと、巡礼旗を持って先頭の大役をおおせつかりました。歩いてみると、景色が違うんです。当たり前ですが、前に誰もいないのです。これにはちょっと考えさせられました。これまでは、人の後姿を見て付いて行けばよかったのが、自分でペースを考えながら道を迷わずにリードしなければならないのです。JR本郷駅までは迷うような難しい道ではないのですが、何度もこの道でよいのか不安になりながら歩みました。なんだか自分の信仰の道をそのままさらけ出したような歩みとなりましたが、午後3時半過ぎには巡礼団110名はJR本郷駅に無事到着しました。感謝とお別れの挨拶を交わして今年もまた、巡礼者を乗せた列車は西へ東へと分かれて行きました。巡礼者の皆様、来年もこの「年に一度の巡礼同窓会」にぜひお越しください。お待ちしております。お元気で!ごきげんよう!ありがとうございました!

 今年は列聖150周年記念と云うことで、巡礼前週と前日の2回にわたり聖堂で日本二十六聖人を描いた昭和6年制作の無声白黒映画『われ世に勝てり』を上映し、延べ100人近くの人が鑑賞しました。初めて観る人も何度も観た人も、涙は滂沱のごとく流れ落ち、白黒の雨降りフィルムは『長崎への道』を鮮烈に想起させ、聖フランシスコザビエルから現代の私たちまでの信仰の歴史を省みさせてくれました。

 三末名誉司教様からのメッセージ『現代の私たちは何をもってキリストを証するのか?』の回答を見つけて実践することが、涙を拭くハンカチとなりそうです。
今から400年後の未来にハンカチを渡せたらいいですね。

 来年も、ともに祈り、ともに歩みましょう!

三原教会 向井雅治